あなたの記憶を抱きしめながら「ふたたび一人」を生きていく—
— 『アローン・アゲイン 最愛の夫、ピート・ハミルをなくして』 青木冨貴子著(新潮社)

もう、あなたはいない――パートナー喪失後の穏やかな覚悟を綴る感動の手記 
“結婚しない女”と呼ばれたわたしが一緒になったのは、ニューヨークでも有名な作家で、プレイボーイ――。

山あり谷ありの幸せな33年間を経て、「ふたたび一人」で生きていく。その声や仕草、におい、運命的な出会いから最期の表情まで、一足先に旅立ってしまった彼の記憶を抱きしめながら。心の筆で書き留めたエッセイ。 

寂しくなったとき、泣きたくなったとき、心が殺伐としてきたとき、この本を読むと、まるで暖炉に手をあてたときのように ほっこりと温まる。必ず温まる。
— 阿川佐和子 氏
解説がなければ一本立ちできないような本ではない。それ自体が立派に独立できる追跡書であって、誰にも素直に理解できる作品である。
— 開高 健(作家)『ライカでグッバイ』寄稿
本書を通読されると当時の傑作となった作品がその後どういう待遇なり命運なりを辿ることになるかを発見して、あなたは万感こもごもの混沌に陥ちこまれるかもしれない。もしそうであれば、本書と著者の功績はあきらかであり、意図は成就されたといっても過言ではあるまい。

サワダの卓抜な眼と行動力は時代の心や事物の力と手を取りあって死の舞踏を続け、しばしばそれをしのいで瞬間を狩りとったのであり、その後の命運は氏の知るところではなかった。読者は氏の長くない生と作品に閃光を感じられるもよろしいし、徒労の泡玉を感じられるもよろしい。

しかし、しばしば”時代”は、自身の発する火で自身を焼いてしまう男女によって導かれるものであることを知っておく必要がある。男が危険を犯す気力を日々に喪いつつあるかのように見られる近年の時潮を思い合わせると、この本が一冊でも多く読まれることを望まないではいられない。
— 寄稿『ライカでグッドバイ』開高健
ベトナム戦争の最前線に乗り込み、報道カメラマンとして名を馳せた沢田教一。センセーショナルな瞬間をカメラに収めた彼は、1966年『安全への逃避』を含む複数の写真群によって、ピュリッツァー賞を受賞。無名のカメラマンから“世界のサワダ”へと飛躍する。

本書は青森県出身の沢田教一が一躍時の人となり、カンボジアの戦場で命を落とすまでの人生を追ったドキュメンタリーだ。社会人になりたてのころ、ベトナム戦争に関する本をむさぼるように読んでいたときに出合った一冊。

本書からは信念を持って自分の人生を生き抜くこと、どう生きるかは自分自身で決めることを教えてもらった。
— 『ライカでグッドバイ』&Premium

BOOK REVIEW

[真暗の気脈]太平洋戦争中に生体解剖をはじめとする非人道的な行為を行いながらも、戦犯とならなかった石井四郎を筆頭とする731部隊。その裏を探った著者は、石井部隊とGHQの間に繰り広げられた、明るみにされていない裏取引にたどり着く......。戦時・戦後に股がる日本の暗い闇に迫った作品です。

著者は、ニューズウィーク日本版のニューヨーク支局長を務められていた青木冨貴子。石井直筆の2冊のノートを見つけ出す青木氏の取材力にまずは頭が下がります。既に敗戦から半世紀以上が経過し、その間に研究が進められていてもなお、ここまで新しい発見を目にすることができるとは。感嘆せざるを得ない情報量で副題のとおりに闇を暴いていきますので、戦後史に興味のある人にはぜひオススメしたい作品です。
— 『731』BookLive 読者
731部隊を追いかけたルポルタージュ。冒頭は、著者が千葉県の加茂へ取材へ向かったところから始まる。著者は、執筆までに相当に取材を重ねてきた様で、千葉県での取材のほか、膨大な文献や当時のメモの解読、関係者インタビューまであらゆる手を施して当時の様子を読み解こうとしている。

本書は、実際に足を運び、目で見て、読み解いた結果を、1つ1つパズルを埋めていく様に文章に書き起こしていく、その膨大な作業の末に出来上がったものだとよくわかる。
— 『731』楽天 Kobo 読者
傑物の慈悲と峻厳
沢田美喜さんのことを知ったのは、神奈川大磯の隠れキリシタンの展示物がある記念館を訪れた時。どんなに信仰の深い三菱のお嬢様だろうと思ったら、、、この本を読んだら、すごい傑物でした。

でも、信仰が深かったのもその通りなんだろうと思った。大スター、ジョセフィーヌが公民権運動前のアメリカで被った人種差別に一緒に立ち向かうことも、アメリカに楯突いて戦後の混血の孤児を守ることも、一方フランスの社交界でもてはやされて岩崎の財をバックに豪遊することも、全部この人ひとりの中に一緒に存在したのだろう。

エネルギーに溢れ、出せば出すほど新たな運命が入ってきた人。運命に選ばれ、運命を全うしたのだと感じた。ただただ溜め息が出て、驚嘆しながら読了。
— 『GHQと戦った女沢田美喜』Amazon 読者
新潮社のPR誌『波』を読んだカミさんが興味を持って、「借りてきて!」というので借りてきた本です。この本を読みながら、マッカーサーがどうだとか、昭和天皇がどうだとか、白洲次郎がどうだとか、吉田茂が、鳩山一郎が、岸信介が、・・・。知らないことが多かったようで、しきりと感心しながら読んでいました。

ということで僕も読んでみました。傑作ミステリーを読むのと同じぐらい興味深く読めました。この本の主人公は、英国人ジャーナリストのコンプトン・パケナムです。ニューズ・ウィークの記者として、アメリカ占領下の日本にやってきて、アメリカに記事を送るだけでなく、マッカーサーを飛び越えた日本とアメリカの橋渡しもしていたようです。コンプトン・パケナムが日本に来て、住む場所を探していた時に、住む場所を紹介した人の後ろに昭和天皇がいたのではないかというのには、ビックリしてしまいました。1945年から、1957年ぐらいまでのアメリカによる占領秘史が興味深く読める本として、お勧めです。類書を何冊か読んでみないと、なかなか理解は難しいのかもしれませんが、きっかけを作る本としては、実にいい本だと思います。

著者は、追いかけついでに、パケナムの生い立ちを調査して、パケナム自称の経歴と、実際との違いを明らかにしてしまいました。神戸に生まれ、多摩霊園に眠っています。日本語が話せました。日本文化にもよく通じていたようです。
— 『パケナム日記』総合書店honto 読者
本書のもう一つの魅力は、この謎めいたパケナムという人物の正体を追う探索の旅路が語られていることである。これが非常に興味深い。各地の図書館、役所、公文書館に照会するとともに彼の家系を直接確かめるためにアイルランドにも出向いている。明らかとなったのは、傍流ではあるが英国貴族の末裔である一点を除き、彼は出生地・父親・学歴すべてを偽っていた。高名な海軍提督を父とし、名門ハロー校から王立陸軍士官学校に進んだという事実はなかった。

経歴をいわば創作し、学歴詐称を行ったのはなぜか。虚栄心からか、支配階級に接近する上の必要性からか。著者はパケナムが志願兵としてあの凄惨な第一次大戦を戦い九死に一生を得て生還したことを想起する。第二の人生を米国で始めるべくNYのエリス島に到着した時点で、パケナム青年は、自らに好もしい経歴を付与して新たな道を歩むことを決意していたのだろう、と著者はみる。.
— 『占領追跡』Amazon 読者
太平洋に消えた飛行士 
1983年に出た単行本の文庫化。しかし、新情報にもとづいて全面的に改稿、さらに一章を書き加えており、まったく新しい本になっているようだ。1937年に世界一周飛行の途上、南太平洋で行方不明になった女流飛行士アメリア・イヤハートの「謎」に迫ったノンフィクションである。イヤハートの飛行・最期については、第二次大戦直前ということもあり、アメリカ政府の密命を帯びての飛行だったとか、日本軍に捕まって処刑されたのだとか、怪しい噂がずっと絶えない。

そこに本書は果敢に踏み込んでいるのである。当時、南太平洋にいた軍艦の乗組員、日本統治下の南洋諸島の住民といったひとたちにインタビューしたり、イヤハートの「研究」をしているひとたちを訪ね歩いたり。そこから、当時の南太平洋における日米の緊張関係、戦間期アメリカにおける女流飛行士の位置づけ、戦後にイヤハート伝説が生まれた原因などが明らかになっていく。

かなり綿密な調査が行われており、資料も公平な目で吟味されている。とても信頼のおける本だと思う。
— 『アメリアを探せ』Amazon読者
犬と暮らすエッセイ。作家ピート ハミル氏の本を拝読。続けて、奥様が執筆したこの本を手にとった。ご夫婦と愛犬ラブラドル リトリバー ガボとのエッセイ。

ガボが生まれて、連れて来られるところから、エッセイはスタートする。読みながら、自然と笑みが浮かんでくる。 ペットは、飼い主の事が手に取るようにわかる。そして、彼らなりの愛情を飼い主に注いでくれる。 私も過去に愛犬を飼っていた事があるので、そのことを思い出した。 本を読みながらリラックスした時間を過ごせた。 ありがとう! 感謝!
— 『ガボものがたり』読書メーター